caring (俳句57句)
沐 名前ではないぬいぐるみ
おはよー きみどりいろの風と景
花束を手品で消してうれしいよ
運がいい冬は未来に似ています
胸ポケットともだちのようになりたい
部屋は遠い窓がたしかにあるわたし
新しい写真の海に島見えて
蕾 天気予報はさびしいね
おとといときのう小さな丘に雨
ずっと映らない海が再生される
ねむりつつ硝子忘れの楽器たち
雪の絵文字。たぶんだいじょうぶ
点描は君にありあまる方法
手のひらに教えてほしい置手紙
静電気 妖精が今ならわかる
約束がからだを使うぬいぐるみ
なんでもない日々は電話を頼りにする
法 これは時計の模倣である
感情は速い水族館で会おう
電報の季節の言葉君が言う
がらくたの瞼が展かれて瑪瑙
君にしか聞こえない声で渚、と言うよ
汽 時間は白い鳥は長い
結び目のまばたく雨をふるわせる
わるいゆめ船は港をほろぼしつつ
仮に眼を柩だとしてぬいぐるみ
うまく言えないけれど君にしずかな川
ぼろぼろの鏡はぐれるちるどれん
君はほんとうにわからない君のゆめみる
霙 兎のようなまひるかな
どこまでがしんじつだろう羽と羽根
機械翻訳あきらめたようにやさしい
でたらめな回転扉つなぐ手も
岬が大きな風に見える暗さかな
璃 醒めてかたちをかなしむよ
うつわではないぬいぐるみもう二度と
薔薇しない発語くずれてえれくとろ
水際や想像通り冬生まれ
飽きるほど明日が来るよ水飲み場
青いほどきれいな線が手で終わる
目くるめく窓くりかえす南かな
翡と翠と棲むよほのあかるい地図に
泳 硝子泣かないでおねがい
人称の育つ林の環に入る
ごめんねとぬいぐるみに言うなにもかも
湖の目と君が合うことも晴れ
銀色の林は水を結ぶかな
はなして ほら 涼しい皮膚の君を
縫 すべての名前を教えて
空港のつめたい天気りふれくと
氷らない花で祭をあらゆるよ
葉に昏く琥珀こわれてるよあふれ
立体をゆるされて帆は架空する
失神の星の睫毛に電流す
ぬいぐるみという仕組みが傷だらけ
わたし/白紙とぎれ/とぎ/れ/をあげる//
淋 代わりの絵本はない