caring (俳句57句)

2026-01-03 - Tags: haiku

もく  名前ではないぬいぐるみ

おはよー きみどりいろの風と景

花束を手品で消してうれしいよ

運がいい冬は未来に似ています

胸ポケットともだちのようになりたい

部屋は遠い窓がたしかにあるわたし

新しい写真の海に島見えて

蕾  天気予報はさびしいね

おとといときのう小さな丘に雨

ずっと映らない海が再生される

ねむりつつ硝子忘れの楽器たち

雪の絵文字。たぶんだいじょうぶ

点描は君にありあまる方法

手のひらに教えてほしい置手紙

静電気 妖精が今ならわかる

約束がからだを使うぬいぐるみ

なんでもない日々は電話を頼りにする

法  これは時計の模倣である

感情は速い水族館で会おう

電報の季節の言葉きみが言う

がらくたの瞼がひらかれて瑪瑙

君にしか聞こえない声で渚、と言うよ

  時間は白い鳥は長い

結び目のまばたく雨をふるわせる

わるいゆめ船は港をほろぼしつつ

仮に眼を柩だとしてぬいぐるみ

うまく言えないけれど君にしずかな川

ぼろぼろの鏡はぐれるちるどれん

君はほんとうにわからない君のゆめみる

みぞれ   兎のようなまひるかな

どこまでがしんじつだろう羽と羽根

機械翻訳あきらめたようにやさしい

でたらめな回転扉つなぐ手も

岬が大きな風に見える暗さかな

   醒めてかたちをかなしむよ

うつわではないぬいぐるみもう二度と

薔薇しない発語くずれてえれくとろ

水際や想像通り冬生まれ

飽きるほど明日が来るよ水飲み場

青いほどきれいな線が手で終わる

目くるめく窓くりかえす南かな

すいと棲むよほのあかるい地図に

えい   硝子泣かないでおねがい

人称の育つ林の環に入る

ごめんねとぬいぐるみに言うなにもかも

湖の目と君が合うことも晴れ

銀色の林は水を結ぶかな

はなして ほら 涼しい皮膚の君を

縫  すべての名前を教えて

空港のつめたい天気りふれくと

氷らない花で祭をあらゆるよ

葉に昏く琥珀こわれてるよあふれ

立体をゆるされて帆は架空する

失神の星の睫毛に電流す

ぬいぐるみという仕組みが傷だらけ

わたし/白紙とぎれ/とぎ/れ/をあげる//

さみ   代わりの絵本はない

caring (俳句57句)